激しい雨が降った翌朝、予報でいうほど天気は回復せず出掛けることを躊躇させる曇天のままだった。一方で降雨を機に涼しくなるという予報も裏切られ、涼しい場所を求めて放浪するのも無駄ではないと思わせる蒸し暑さが都心には残っていた。優柔不断さ全開で昼過ぎまで迷っていたが、気になっていた道の駅を目指して出掛けることにした。こうやって好きな時に思い立って出かけられるのが車中泊のいいところ。
大好きな富士山方面には十中八九東京から東名高速を利用するが、いつもと同じでは芸がないなと思っていたら、行き先を入力したナビも同じく思ったらしく珍しく中央道を薦めてきた。週末の夕方に出発して空いている下り線を走る贅沢を満喫しながら久しぶりの中央道をのんびりペースで向かったのが道の駅朝霧高原。
山中湖や富士吉田市が位置する富士山の東側には幾度となく訪れているが、富士山を挟んだその反対側(西側)はほとんど来たことがない。既に日が暮れた曇天の暗闇の中、国道139号の緩やかで心地よいアップダウンを楽しみながら南下していくと、景色が開けて道の駅を示す大き目の看板が目の前に現れた。
到着は18時を過ぎていて売店施設は既に閉店していた。隣接するコンビニなどもなく暗闇の中で比較的大きな駐車場を外灯だけが照らしている中、キャンピングカーなどが少なくない台数停まっていた。もっとも駐車場のキャパシティからすれば少なく、駐車スペースには余裕があった。
暗闇の中で施設の全容はあまり把握できないまま、ヘッドライトをアテに車を停める場所を探して駐車場を一周した。そして臨時(第二)駐車場の入り口を探し当ててそちらに停めることにした。事前調査で唯一確認しておいた情報で、メインの駐車場ではなく第二駐車場の方がいいと知っていたのだ。その理由は以下の写真を見てもらえればわかるだろう。
観光目的の交通がメインのロケーションだからか、夜間はとても静かで快適に過ごせる道の駅という印象だ。二か所あるトイレの一つは臨時駐車場から近い場所にあるのでどちらのスペースに停めてもトイレへのアクセスに困ることはない。大型トラックも夜中に第一駐車場に1台停まっていたのみである。
道中降っていた激しめの雨は到着時には止んだかわりに冷たい風が少し強めに吹いていた。夜が更けるにしたがって涼しいを通り越して少し寒くなるくらいにまで気温が下がり、窓を締め切り万が一を考えて持参した毛布に包まって寝る必要があった。標高800mの場所ゆえその可能性は想定していたが、夜中に30分ほどFFヒーターを入れて車内を温める必要があったのはさすがに想定外だった。
空が白んできた明け方、車外に出てみると目の前に富士山を拝むことができた。第二駐車場に拘ったのはこの景色を味わいたかったからだ。最初は笠をかぶっていた富士も日が昇るにつれてhat's offしてくれた。
西側から見る朝の富士山は逆光に映えて幻想的。秋の到来を予感させてくれるススキに風情を感じながら朝食をのんびり摂りつつ、飽きもせず同じ景色に向かって何度も何度もシャッターを切って朝の時間をまったり過ごした。
施設の後方に位置する第二駐車場は人も車も往来が少なく時間を忘れる空間であったが、気がつくと第一駐車場とそれを取り巻く売店にはすっかり人と車が行き来を始めて一日が始まっていた。富士山一周サイクリングの休憩ポイントにもなっているようでサイクリストも多く(既に)休憩していた。売店や地元野菜売り場、アイス工房と食堂の他に、裏手には特産品の工場見学や富士山の恵みを活かした食が楽しめるテーマパーク「あさぎりフードパーク」もある。日曜日はノミ市が開催されるようで敷地内を散策した時はちょうど準備中だった。半日程度のんびり過ごしても楽しい場所だと思う。
ちなみに富士山の反対方向、第二駐車場から第一駐車場方面に目を向けると毛無山が見渡せる。
放浪旅の贅沢は朝寝坊とレイト"チェックアウト"。他の車中泊車があらかた出発した後に重い腰を上げて見飽きない景色に別れを告げて出発。途中のパーキングエリアに寄り道しながらのんびり富士宮を目指す。
そしてまた寄り道。名産品としての知名度はわからなかったが団子は美味しかった。
富士宮に向かったのは富士宮焼きそばが目的。道の駅で食べたことはあるが一度きちんと食べてみたかった。web上で評判上々の「さの食堂」に開店直後滑り込むと既にほぼ満席。大盛りを頼んだが、若干の薄味が功を奏しで飽きることなく食べきることができた。このお店、醤油ラーメンも美味しいらしいので次回の宿題ができた。店を出るとすっかり入店待ちの行列ができていた。