先日、海外出張の際に持参するノートパソコンを新調してもらった。あてがわれたのがLenovo Thinkpad X301。実はLenovo製になってから初めて使うThinkpadなのだ。IBM時代に比べて"Thinkpad"の雰囲気や操作感が変わっているのか(いないのか)興味を持ちつつ、約三週間使ってみての印象を記す。
一番興味があったのはキーボードのタッチだったのだが、これは従来のThinkpad、少なくとも自宅で使用しているX31とはとあまり変わらない印象を受けた。少しキーストロークが浅くなったような気もするが、カチャカチャというよりどちらかというとペタペタというキー押下時の感触は変わっていないのに安心した。Windowsキーをはじめ余分なファンクションキーが幾つか増えてキー配置は少し窮屈になった気がする。
Thinkpadのアイデンティティであるトラックポイントは慣れているせいか使いやすい一方で、手前にあるタッチパッドがとても邪魔。トラックポイントのクリックキーの直下にパッドが位置しているためにすぐ触ってしまう。機械を入手後、真っ先にタッチパッドはオフにしてしまった。(どうやらタッチパッドなしのモデルもあるらしい。)
PCカードスロットはもう古いのだろうか?Xシリーズの中でもX301は特に薄さと軽量化をウリにしているみたいだが、ノートPCでPCカードスロットが搭載されていないのは不便。フラッシュカードを愛用している身にとってローカル環境でのデータのやり取りに困る。そんな本体の割り切りをおこなっている割にはドッキングステーションには対応していないのも割り切り過ぎな気がする。IBM時代のultra portable 500シリーズを彷彿させるが、付属機器で本体機能を補完しないのであれば、もう少し筐体は厚くてもいいからカードスロットなどの機能を外してほしくなかった。
一方で、IBM製のX20のころから搭載されているキーボードライトはX301でも継続搭載されている。マニアックな機能なので継続搭載は意外だったが、機内など暗闇での使用などでは重宝しているので嬉しかった。
IBMからLenovoになっても本体周りの品質はあまり見劣りしていさそうだ。一方、ACアダプタやプラグ周りは品質的は問題ないのだろうがプラグがカラーコーディネートされていないなど、Thinkpadらしさが薄れていてちょっとがっかり。ただ外装の塗装感(触感)は従来どおりで安心。
ソフトウエアもずいぶんThinkpad色が薄れている印象を受けた。ネットワークプロファイルユーティリティであるAccess Connectionsは健在しているものの、その他のユーティリティは汎用化されている。(DVDライターなど)
Lenovo Thinkpadの開発はIBM時代の開発メンバーが引き継いでいるそうだが、そのせいもあってThinkpadの雰囲気と安心感はあまり変わっていないように思う。SSD搭載機ゆえのディスクの不穏な音発生がない点や先入観を差し引いても出来はいいと思う。Lenovo→中国メーカー→品質低下、という逆の先入観もあったがいい意味で裏切られた。
まぁなんであれ、(自分にとって)Thinkpadが引き続き安心感を感じることができるブランドであって良かった。LenovoがIBMからThinkpadを買い取って5年が経過する。IBMがLenovo PCのプリファードサプライヤーとなる契約期間が今年expireする。IBMの掛かる息が薄くなってきても、是非Thinkpad Quality=「Thinkpadの安心感」は保って欲しいものである。